果たしつつあるが、特に官民接点の電子申告、電子公開、電子取引などには行政機関と民間のシステムが適切に接続される(官民)ネットワークが必須であり、さらにワンストップサービス、ノンストップサービスあるいはアクセスポイントの拡大のためには、国の機関や地方公共団体相互(官官)のセキュリティの高いネットワークが前提として必要である。
官官ネットワークとしては、現在本省庁相互を結ぶ霞が関WANの運用が始められたが今後さらにその範囲の拡大の具体化が期待されるとともに、特に地方公共団体相互のネットワークの構築が進められるべきであろう。すでに指摘されているとおり、個人情報保護条例をもつ地方公共団体のうちには、他団体とのオンライン結合すなわちネットワークを全面的に禁止あるいは制限しているものがあり、もはや必要なネットワーク化の阻害要因ともなっている。自治省の指導にもあるようにできるだけ早急に時勢に合わせた改正が求められる。
官民ネットワークについては、民間における商用ネットワークやインターネットの普及が著しく、一つの方向としてセキュリティの確保措置を進めつつこれらと行政機関のネットワークを接続するという提案もなされている。いずれにしても、いわゆる電子政府、電子市役所の実現はこれら官官、官民のネットワークの構築が大きな要素となろう。
(2)共通個人識別コード制度化への取り組み
最近の行政情報化の進展に伴い、国民の利便の向上を図るワンストップサービスやノンストップサービス、あるいはアクセスポイント(受付地域)の拡大などの行政サービスの向上方策が各機関で具体的に検討されるようになってきている。これらのサービスはネットワークを通じ各機関にまたがって処理されるものであるため、個人識別の方式が大きな課題とされる。典型的にはいわゆる統一個人番号の設定である。
この問題は我が国でも20数年前に国民総背番号制として論議を呼んだことがあり、世界の大勢と国民のコンセンサスを見るとして棚上げされたまま今日に至っているが、その後我が国の情勢も大きく変容している。当時、全く整備されていなかった個人情報保護法が1988年に制定され、地方公共団体でも個人情報保護条例が続々と制定されている。データやシステムの安全対策は飛躍的に向上し、世界的に見ても、すでに個人識別番号の統一利用により行政サービスの向上を図っている例は多い。
行政の情報化において、情報通信技術の発展を背景に真に国民の利便が向上する行政
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